Eigo.co.jp
Inside Japan / English in Meiji

English in Meiji|明治の英語:翻訳国家の起点と“読む英語”の強さ

明治の近代化は、鉄道や軍艦だけではなく、概念の輸入でもありました。 法律、制度、科学、工学、教育——それらを短期間で取り込むために必要だったのが翻訳。 この時代の“翻訳国家”の経験が、日本の英語学習を「読む・訳す」に強く寄せた土台になっています。

このページの目的:歴史を学ぶためではなく、あなたの学習を最適化するため。
日本が“読む英語”に強い理由を理解して、話す/交渉する英語を意図的に足す。

1) 明治は“翻訳の国家プロジェクト”だった

近代国家を短期間で立ち上げるには、物だけでなく概念が必要です。 憲法、議会、条約、司法、会計、統計、工学——これらは“言葉”としてまず入ってきた。

重要ポイント:近代化の初期に求められた英語は、会話ではなく読解翻訳
だから日本の英語は「読む」に強い文化的・制度的理由を持つ。
ここでの英語は“コミュニケーション”というより、技術移転の手段だった。

2) なぜ日本の英語は読む力が強いのか

理由内容学習への影響
目的が読解 法・制度・科学の輸入が中心 読む訓練が厚くなる
教育制度 試験で測れる能力に寄る 文法・読解が強い
日本語の強さ 抽象概念を整理できる 翻訳が上手い
恥文化 話す失敗が心理コスト高い 出力が弱くなる
あなたの強みは“読む力”かもしれない。
それは欠点ではなく資産。ただし、現場で勝つには別スキルを足す必要がある。

3) 翻訳が作った日本語のスタイル(硬さの理由)

翻訳が大量に起きると、言語は“鍛えられる”一方で、スタイルが硬くなる。 日本語の公文書・論文・企業文書に残る硬さは、単なる趣味ではなく輸入概念を正確に運ぶための設計でもあります。

  • 名詞化が増える(英語の抽象名詞を運ぶ)
  • 受け身・無主語が増える(責任をぼかす文化も混ざる)
  • 長文が増える(条件を全部入れる)
そして現代の現場英語は逆:短い・主語がある・動詞が強い
ここが“読めるのに話せない”の構造的なギャップを作る。

4) 学校英語の設計:強みと限界

学校英語は悪ではない。強みがある:

  • 文法の体系(本当は武器)
  • 読解(情報処理が強い)
  • 正確さ(契約・技術文書で効く)

ただし限界もある:

  • 出力(話す・交渉)が評価されにくい
  • 短文化の訓練が不足
  • 確認質問の訓練が不足(誤解を減らすスキル)
“学校英語を捨てる”ではなく、学校英語を土台にして運用を足すが最短。

5) 近代のギャップ:読む→話すの橋をかける

橋渡しの鍵は、この3つ:

  1. 短文化:1文を短く、主語と動詞を立てる
  2. 動詞で動かす:align / confirm / clarify / commit
  3. 確認質問:By when? Included? Owner?
Verbs Clarifying Rewrite

6) 実践:翻訳力を“会議力”に変換する

あなたの読解・翻訳力は強い。だから“変換器”を入れる:

日本語(長い) → 英語(短い)へ変換するルール:
1) 主語を置く(We / I / You / The team)
2) 動詞を選ぶ(confirm / propose / decide / deliver)
3) 条件を分ける(first / next / finally)
4) 期限を入れる(by Friday / today EOD)
5) 合意で閉じる(Does that work?)
明治がやったのは“概念の輸入”。あなたがやるのは“短文化の輸入”。
目的は同じ:必要なものを最短で取り込む

© Eigo.co.jp — Inside Japan.